電子署名法とオンライン申請

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不動産登記甲号オンライン申請は2003年に開始します。
電子商取引の普及に伴い電子署名法が制定されました。
2000年9月、司法書士実務研究会で報告しました。
その報告書です

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           電子署名法の立法動向
                          報告者 滝川あおい
1 はじめに
 本年9月21日に開会した臨時国会の森首相の所信表明演説の二つの大きな柱はIT革命と教育改革であった。インターネットの爆発的普及に伴うIT革命と呼ばれる情報通信
分野の技術進歩がめざましい*1。インターネットを利用した商取引をe-commerceと読んでいるが、e-commerceに代表される電子商取引のメリットは、ネット化で事務処理コストを大幅に削減できることにあるという。電子商取引により、メーカー・ユーザーが直接つながることになり、電子商取引は、今後、生産財などの分野へ広がる見通しである。このように、電子商取引は、ネット上で行うものであることから、通常の取引に比べ、国際化・ボーダレス化がはかられやすい。
  電子商取引の市場規模は、1998年段階で、8.7兆円といわれており、2003年段階では、71.6兆円になると予測されている*2。当然経済界からも、この急成長する市場を展開する電子商取引に対する法的整備を求める声が起こっている。各国の電子商取引に関する法整備は、まちまちではあるものの次第に整いつつあり、一方、我が国の法整備が遅れていることが、日本企業が電子商取引に立ち後れる要因となることが懸念されている。電子商取引に関する法整備、とりわけ、電子署名に一般の署名と同様の効果を帰属させることを可能とする法制度の整備が求められる所以である。
 1999年7月27日経団連が公表した「電子商取引の推進に関する提言」においては、産業界・政府に対して電子商取引拡大に向けた方策が示された。概要は、以下のとおりである。T電子認証に関する制度的課題への対応としては、@手書署名や押印と同等に通じる制度的基盤が必要A自国の電子署名が他国でも通用するような仕組みが必要B公的部門が採用する認証基準については多様なメニューがあり、各地省庁が共通して利用可能であることが重要*3C認証業務は民間に等。U民事ルールの見直しとしては、@電子署名の推定力A書面による説明などを前提とした制度の見直しが必要*4。V電子署名が国際的に有効であることが必要。W電子政府推進に向けた認証制度の確立。
 経済界の懸念は、諸外国では、電子商取引関係法、特に電子署名法の立法の整備は整いつつあるのに対して、我が国の立法が立ち後れているため、我が国の産業が、国際市場における電子商取引をリードできなくなることにある。そのためには、制度的基盤は、グローバルスタンダードなものでなくてはならない。また、行政の情報化に伴う電子認証についても、情報の一元化を前提とする電子政府実現のため、共通して利用可能なものであるべきで、しかも認証業務自体は、適正な競争を促進するために、民間主導でなくてはならないとしている。
 我が国における電子署名・認証に関する法制度の整備については、高度情報通信社会推進本部アクションプラン(平成11年4月16日)において、「我が国における認証業務の健全な発展を促し、また電子署名が少なくとも手書き署名や押印と同等に通用する法的基盤を整備するため、国際的な整合性に配慮しつつ、平成11年度中に認証業務に関する制度整備に着手する(郵政省・通商産業省・法務省)」とされていた*5。郵政省・通商産業省・法務省は、各省での検討結果を踏まえて*6、昨年11月19日に「電子署名・認証に関する法制度の整備について」と題するパブリック・コメント募集を行った*7
政府は、各省での検討結果、関係団体等との調整、パブリック・コメントの結果を踏まえて、第147回国会に「電子署名及び認証業務に関する法律」案を提出し、5月24日に可決成立された(以下、電子署名法という)。
 本年4月11日第147回国会において成立した「商業登記法等の一部を改正する法律」(平成12年法律第40号)により、商業登記法・公証人法・民法施行法の一部が改正され、「商業登記制度に基礎を置く電子認証」「公証人制度に基礎を置く電子公証」等の制度が導入され、4月19日公布された。同法は、インターネットを利用する電子商取引の増加に伴い取引の安全性を担保するため、商業登記情報を活用した電子認証制度を創設し、公証サービスを電子文書についても可能とする電子公証、電子署名も同時に整備することを目的としている。
 従来の書面による商取引などにおいては、登記所の商業登記情報に基づいて発行される登記簿謄抄本や資格証明書、印鑑証明書が広く用いられている。しかし電子取引では対面によって相手を確認できないうえ、データ内容が改ざんされる恐れがあることから、データ作成者や内容の真正性などを証明する仕組みとしての電子認証が求められていた。商業登記制度に基づく情報を電子認証で活用する仕組みとして、商業登記情報を持っている登記所に認証機関としての役割を担わせ、実際の手続きは、各登記所が申請を受け付け、集中的に情報を処理する「認証センター」(仮称)を新設して電子証明書を発行する。電子文書への署名は暗号(公開かぎ方式)を用いたデジタル方式とし、安全性を確保する。法務省はこれによって「現在書面の形式で提供されている登記簿謄抄本や資格証明書、印鑑証明書と同様の極めて高い信頼性を持つ認証の手段を提供できる」としている。電子認証は官公庁での電子申請にも十分に可能で、特に印鑑証明書などが使用される分野を中心にかなりの需要が見込まれている。」となっており、政府の取組は、まずは商業登記所から開始するようである。
 また、昨年、住民基本台帳法が改正され、住民基本台帳情報の電子化がはかられることとなったことを契機として、自治省は個人の電子認証を導入する方向で検討を進めている*8。今後は、政府レベルでは、法人の認証は商業登記所で、個人の認証は、自治省で行われることとなろう。
本稿においては、以上のような電子商取引に対する対応の中核をなす電子署名法を巡る法的基盤整備の諸問題を、特に司法書士業務に密接する法務行政の情報化の視点を踏まえて検証したい。
 
2 電子商取引を巡る政府の対応の概要
 ここでは、この三年間の政府の電子商取引・行政の情報化に対する取組の概要を振り返ることとする。
(1)高度情報通信社会対策部の対応
 1997年5月16日に「経済構造の変革と創造のための行動計画」が閣議決定され,その中で,「平成13年(2001年)頃を目途に,わが国の企業間,企業・消費者間のすべての分野の取引において,ネットワークを活用した受発注,共同設計・開発等(電子商取引)の本格的な普及を実現することを目指す」とされ,そのための施策として,「電子的な契約取引を巡る法律関係…等,電子商取引の本格的な普及に向けて検討すべき制度的課題のすべてについて,早急な検討を行い,その結果を踏まえて,平成13年(2001年)までに必要な措置を講ずることとする」との方針が明らかにされた。さらに,その一環として,「平成10年度を目途に,商業登記制度,公証制度等に基礎を置く電子認証・公証制度及びこれに関連する法の整備等に着手する。また,取引の種類や形態等の多様性を勘案しつつ,情報通信ネットワーク等を通じて本人確認や内容確認を行う認証業務など,いわゆる認証の在り方についての検討を進める」こととされていた。
 1997年9月、内閣の高度情報通信社会推進本部に「電子商取引について,基本的考え方や主要な課題を整理しつつ,その推進のあり方につき検討を行うことを目的」として,電子商取引等検討部会が設置された。
 1998年11月9日には、高度情報通信社会推進本部により「高度情報通信社会に向けた基本指針」が改訂され、1999年4月16日には、高度情報通信社会推進本部は、「高度情報通信社会に向けた基本指針アクション・プラン」において、当面の目標として電子商取引の本格普及があげられ、電子署名が少なくとも手書き署名や押印と同等に通用する法的基盤を確立するため、郵政省,法務省及び通商産業省が協力して平成11年度中に認証業務に関する制度整備に着手するとした。
 1999年7月13日に産業構造変換・雇用対策本部が決定した「雇用創出、産業競争力強化のための規制改革」によると、「電子取引の民間における導入を促進し、各種制度について電子媒体の使用を可能とする基盤を整備するため、商業登記に基づいて電子署名の作成者等を証明する電子認証制度のあり方を検討し」となっている。
 1999年11月11日に経済閣僚会議において決定された「経済新生対策」においては、経済の本格的回復のために、具体的な施策として電子商取引の法整備等インターネットを活用した電子商取引等を促進するために、相手方を確認する電子認証業務の健全な発展を促すとともに、電子署名が少なくとも手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤を整備するため、電子認証業務に関する法整備を行うことが求められている。
(2)行政の情報化推進計画
 1997年12月20日閣議決定における改訂計画「行政情報化推進基本計画」
(平成6年12月25日の閣議決定のより策定された平成10年から14年までの五カ年計画)は、改訂前の計画において打ち出した「行政の情報化・高度化」という理念を一層強力に推進することにより、目前に迫った「21世紀初頭には、高度に情報化され
た行政すなわち「電子政府」の実現を目指す」とした。1999年4月には、総務庁が「共通課題研究会中間報告書ー電子文書の原本性確保を中心としてー」を発表し、電子的行政情報の原本確保の問題を検討し、行政の情報化の構想を具体化した。
 2000年3月31日には、行政情報システム各省庁連絡会議了承として「平成12年度における行政情報化の取組方針」「申請・届出等手続の電子化推進のための基本的枠組み」が公表され、申請・届出手続の電子化を推進することとなった*9。この中では、行政機関が申請者のデジタル署名を検証できるシステムとして、商業登記制度に基礎を置く電子認証システムの導入、電子認証・認証業務に関する法制度に基づく認証システムの導入、及び自治省において地方公共団体における印鑑登録証明と同様の機能の電子認証システムについて平成15年度までの運用開始を目指し検討を進めることが明示されている*10。本年、商業登記制度に基礎を置く、法人の電子認証制度が導入されたこと、電子署名法が立法されたことはこのような要請に基づくものであるといえる。
(3)規制改革関連
 一方、規制改革の流れの中でも行政の情報化・電子商取引の推進は求められた。1999年3月30日閣議決定「規制緩和推進計画(3カ年)」5規制緩和の推進に伴う諸方策(5)行政の情報化の推進の項目にやおいては、「特にワンストップサービスの実施に向けて各種の行政手続きにインターネットを活用した行政手続の案内・教示・申請手続様式の提供や手続き自体のオンライン化を進める」とされていたる。しかし、この時点では、特に、電子商取引に関する記載はなかった。
 1999年7月30日行政改革推進本部規制改革委員会「規制改革に関する論点公開」
8電子商取引の基盤づくりの推進・・「電子認証の信頼性を確保する視点から、認証機関を公的機関が認定するが必要であるという考え方がある。将来の技術的な発展への対応と、公平・公正な制度運営を考慮に入れつつ、認定機関の要件・在り方・認証の仕組みを検討するべきである」行政の情報化とは別項目で取り上げられている。
 1999年12月14日行政改革推進本部規制改革委員会「規制改革についての第二次見解」2法務(3)電子商取引・・「電子認証の信頼性を確保する視点から、認証機関を公的機関が認定するが必要であるという考え方がある。しかし認定機関の要件・在り方・認証の仕組のを検討に際しては、将来の技術的な発展に対し柔軟に対応できるよう、技術的中立性の確保と過度の規制の排除を考慮に入れる必要がある。また、公平・公正な制度運営を行えるよう、国際的な制度の整合性の確保を考慮に入れつつ、認証サービス事業者が自由に事業活動を行えるとともに、ユーザーが自由にサービスを選択できる制度とすべきである」行政の情報化とは別項目で取り上げられている。
 2000年7月26日に公表された「規制改革に関する論点公開」では、IT化と環境問題は、総合的でかつ早期に検討を開始する必要性が極めて高いと判断され*11、IT化の規制改革の三つの視点のうちコンテンツの拡大の中で、申請届けの電子化や書類の電子保存、民間取引の電子化への法整備の必要性などについて触れている*12
 一方、法務省は、規制改革委員会から商法の電子商取引に対する対応の不備についての指摘を受け、@CPの電子化A株券と社債券の電子化B船荷証券の電子化C会社法上の紙の要求の改正の必要性D支店登記は不必要(インターネットで登記情報を開示すればよいE外国会社の規制(商法479条)の撤廃の必要性などの指摘を受けている。
 (4)法務省
 法務省においては、民事局1997年7月に「電子取引法制に関する研究会」が設置され、1998年3月までに5回の全体会合を開催した。制度関係小委員会と実体法小委員会とを設置し、それぞれ検討を行っている。また、電子取引・電子申請の現状及び電子認証・電子公証制度に対するニーズの調査のため、「電子認証・公証制度のニーズに関するアンケート」を実施し、1998年3月21日に、中間報告書をとりまとめ、公表。電子取引法制に関する研究会は、1998年3月に報告書を公表し、@ 商業登記に基礎を置く電子認証制度の構築A公証人制度に基礎を置く電子公証制度の構築B電子認証に関する法的整備を中心として報告書を公表した。
(5)通商産業省
 通産省においては、1996年4月に電子商取引環境整備研究会が設置され、1997年11月に「中間論点整理」が公表され、論点整理をおこなった。1999年2月より7月まで「電子商取引の環境整備に関する勉強会」において議論され、1999年8月19日「電子商取引の環境整備の一環としての法的課題の検討について」を公表した。これらの報告書は、法務省の報告書と同様に、認証システムや電子署名、電子公証について触れているが、法務省のスタンスとは異なり、民間による自主的ガイドラインの設定を勧奨するものである。
(6)郵政省
 郵政省は、1997年10月から「ネットワークを通じた認証業務の在り方に関する調査研究会」を開催し、1998年5月に報告書を発表した。1999年1月に「暗号通信の在り方に関する研究会」が設置され、1999年6月に報告書を発表している。また、「電気通信回線を通じて行われる電子計算機に係る犯罪の防止及びアクセス制御機能により実現される電気通信に関する秩序の維持を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的」として(第1条)不正アクセス禁止法が成立した。
 1999年11月19日には、法務省・通産省・郵政省三省による論点整理「電子署名・認証に関する法制度の整備について」が公表され、パブリック・コメントを募集している。その大まかな中身は、@対象となる電子署名の範囲はデジタル署名以外のものも含む方向A民間認証機関の国による任意の認定制度の検討〜中立的な機関の国による指定B認定された認証機関の認証にかかる電子文書は、署名者の思想が表されていると規定する方向などというものであった。
 (7)警察庁
 警察庁は、1999年12月18日、「電子認証制度のセキュリティ確保方策についての基本的考え方」を公表し、パブリック・コメントを募集した。警察庁のスタンスは、法務省・通産省・郵政省とは異なり、電子商取引の信頼と、安定したネットワークづくりと、取引の信頼性の確保の観点から、一定の規制的側面を考慮する必要があるとする。考え方の基本は、認証過程での信頼性の確保のための施策としては、@認証段階でのいわゆる「なりすまし」防止による取引安定性の確保A秘密鍵の管理B認証過程での不正行為に対する罰則を設ける等というものである。
3 電子署名法の意義*13
(1)電子署名法とは?
 それでは、そもそもどうして電子署名法が必要なのであろうか。本報告書冒頭で述べたように、電子商取引が今後日本経済を発展させ、日本経済が世界でイニシアティブをとるための重要な要素であることは否めない*14。契約成立自体が、オンライン上のみで行いうるため、オフラインであらかじめ基本取引を行うという従来の方法では対応できないのである。契約締結の過程も全てオンラインで行うこともある*15。その前提として法的整備が必要で、特に、電子認証制度が法的整備の中核となるのである。
 電子認証とは、本人の同一性と電子データに改竄がないことを保証する制度である。いいかえれば、電子データ発信者の特定と、意思内容の完全性を証明する制度であるといえる。オンライン上の取引の場合は、相手に会って取引を行う訳ではないので、特に、相手を確認する必要がある。また、デジタルデータが改竄されていないことも保証される必要がある。電子署名とは、電子認証を実現する一手段であり、方法としては、公開鍵暗号方式を利用して、認証機関と呼ばれる段三者機関に当事者の特定と内容の完全性を証明させるデジタル署名が現在のところ、一般的である*16
(2)電子署名法の主な内容・争点
 電子商取引を前提として、現行民法上で、どうしても改正が不可欠な規定はないといわれている*17。日本民法は、比較法的には異例なほど諾成主義をとっているからである。つまり、実定法の規定の改正は特に必要ではないということになり、法改正が必要な領域は、主に証拠法の分野となる。書面・捺印・署名の持つ意味は、警告機能・完全性維持機能・帰属機能であるが、これらの機能は、契約が電子的に行われるとどうなるのかが問題となる。
 各国契約法の電子商取引に対する対応の概観は、以下のようなものである。アメリカは、UETA(統一電子取引法)、UCITA(統一コンピューター情報取引法)を制定し、EUは「電子商取引の法的枠組みに関する指令」を本年5月に採択した。国際機関としては、UNCITRALモデル法(1996)が採択されている。
 我が国においては、具体的には、文書の成立の真性を推定する規定である民事訴訟法228条4項の署名または押印にデジタル署名を含むのか、デジタル署名の認証機関等が問題となった。争点としては、以下のようなことについて検討された。
@証明力の問題
 デジタル署名も、印鑑と同様に無断使用される可能性があり、保管は印鑑よりも困難であるかもしれない。それでも、押印と同様の推定効を与えてもいいのか。また、デジタル署名が誰のものであるのかを証明する認証機関が本人登録時に厳格な本人確認を行わなければなりすましは簡単である。それでも、印鑑と同様の推定効を与えていいのか。
 また、証明力の程度の問題との慣例では、認証機関は、民間主導でいいのかどうかという問題がある。営利性とは無関係な公的機関が認証を行うべきではないかという考え方があり、その場合は、商業登記制度に依拠することとなろう。印鑑登録制度同様に、個人の認証に関しては、自治体が認証機関となることが現実的である。あるいは、本人確認は、オフラインでするべであるとする考え方もあるが、そうすると、電子商取引の円滑生が阻害されることが懸念される。
 なりすましの危険性がしばしば指摘される電子認証制度であるが、現実になりすましが起こった場合の認証機関の責任はいかなるものであろうか。アメリカは、民間主導・公的規制撤廃という方針で電子商取引を推進する方向であるのに対し、EUは、適切な規制の枠組みを構築しようとしている。
 証明力の問題としては、帰属機能を与えることが可能かどうかという議論がもある。
A技術的中立性
 現在は、電子認証に関しては、専らデジタル署名を中心として論じられているが、特定の技術に限定せず、技術革新や市場適合性に柔軟に対応できる制度を創設することが望ましいといれている*18
Bライセンス制の採否
 認証機関のライセンス制をとるかどうかという問題がある。必要的ライセンス制か任意的ライセンス制かという点では、現在のところ、任意的ライセンス制をとることが検討されているようである*19。意思推定規定や無過失効果帰属規定の適用は、対象となる認証機関を一定の要件を具備したものに限定する必要がある*20。上級認証機関とそうでないものの区別が必要であるとの見解がある*21。認証機関の規制も必要となる場合があり、免責条項のチェックが必要であろう*22。一方的に認証機関が責任を負わない旨の条項は、現在議論されている消費者契約法の不当条項規制に反する可能性もある。
C鍵寄託システムの採否
 秘匿化のための鍵を認証機関などに寄託して、暗号の利用拡大に伴う組織犯罪対策 や社会防衛を行うことの可否が問題とされる*23。警察庁は、認証機関は鍵の保管を厳正に行うべきであるとしている。
 
(3)電子署名法立法の動向
 本報告書冒頭で述べたように、インターネットを利用する電子商取引の増加に伴い取引の安全性を担保するため、商業登記情報を活用した電子認証制度が創設された。電子署名法も同時に制定され、来年4月1日の施行が決まっている。法制定過程においては、@電子署名による本人の同一性の証明の効力を法定化するか否かA電子署名に民事訴訟法228条の書面の推定力を認めるなら、民事訴訟法の改正によるべきで、特別な立法を必要とするか否かB認証機関の資格認定制度の導入を電子署名法に入れるか否か等という点が争点となった。
 @に関しては、結果的に本人の同一性の証明の効力の推定条項は定められなかった。その理由は、印鑑証明制度自体に、このような効力を定める法律がないこととのアンバランスが問題になるというものである。Aに関しては、結果的に電子署名法自体に推定規定を入れることとなった。法務省は一貫して私法たる電子署名法にこのような規定を挿入するのはおかしいとするスタンスをとっていたようである。Bに関しては、特別な法律の制定の必要はなく、業法をつくればいいというのが、法務省の基本的スタンスであったようであるが、立法の主導権が郵政省にとられたということもあって、結果的に法務省は、電子署名法において認定制度の導入することに合意をしたようである。
 確かに、現在の我が国の法体系上を基本にして考えると、法務省の言い分が最もであろう。 しかし、電子商取引は、その性質上、グローバルスタンダードが求められるものであり、国際的立法のバランスが必要であることは、いうまでもない。電子署名法という特別法を制定せずに、現在ある法律の一部の改正などで対応することは、国際的にみると、体裁をなさないとするのが、通産省・郵政省の立場であったのである。
4「法務省電子取引法制に関する研究会(制度関係小委員会)報告書」の概要
 行政の情報化と、電子商取引に対する法整備の要請の中で、法務省は、商業登記と公証制度を利用して、電子認証を登記所と公証役場が行うことで、情報化社会におけるイニシアティブをとろうとした形跡が伺える。法務省の構想の基本となった平成10年3月に法務省が公表した 「法務省電子取引法制に関する研究会(制度関係小委員会)報告書」は、「電子認証は,電子的なデータの伝送において,通信の相手方を確認するための方法であるが,このような相手方の確認は,電子取引及び電子申請においてのみ行われるものではなく,従来の取引や官公庁への申請においても行われている。こうした従来の取引等において相手方の同一性を確認する方法の中でも,商業登記情報に基づき発行される登記簿謄抄本,資格証明書及び印鑑証明書は,相手方の実在,代表権の存在及び代表者の同一性を確認するための手段として広く利用されている。そこで,電子取引においてもこうした商業登記情報を活用した信頼性の高い電子認証制度を構築することが望ましい。電子認証は,電子文書等の作成者を確認するための手段であるから,電子認証のシステムにおいては,その利用者の同一性を何らかの方法で確認する必要がある。特に,電子取引及び電子申請の場面で用いられる電子認証のシステムにおいては,利用者の同一性の確認が特に正確に行われることが必要になる。そこで,電子取引及び電子申請が安全に行われるための環境整備の一環として,既にみたように,わが国のすべての会社を網羅し,かつ,極めて信頼性の高い証明手段として広く利用されている商業登記情報を電子認証の場面で活用する仕組みを整備することが考えられる。」とし、商業登記制度に基礎を置く、電子認証制度の導入を提唱し、この構想はそのまま商業登記法改正により導入された。
 また、この報告書においては、公証人制度に基礎を置く電子公証制度の導入の必要性についても触れられている。 報告書は、「従来の書面による取引においては,その安全を確保するために,商業登記制度と並んで,公証人制度が利用されている。公証人は,確定日付の付与,私署証書の認証といった業務を行うことにより,ある書面が一定の時期に存在したこと,その書面が真正に成立したこと等を明らかにするほか,一定の法的効力を有する証書である公正証書を作成している。こうした公証人制度は,ある事実の存在を公に証明することにより,当該事実の存否について後日紛争が生じることを未然に防止する等の役割を果たすものであり,実際の取引において広く利用されている。しかし,現在の公証人制度においては,その対象は書面に限られており,電子的なデータについての公証サービスは提供されていない。」とし、具体的には、(ア) 電子確定日付の付与(提示された電子文書等に,公証人が日付を書き込んだ上,デジタル署名を付する)(イ) 電子私署証書の認証 (私人によって作成された電子文書等が本人によって作成されたこと及びその内容が違法なものでないことを審査し,認証文を付し,公証人がデジタル署名を付する) (ウ) 電子公正証書の作成 (契約当事者の本人性及び代理人の場合は代理権限を確認し,その嘱託に従って公正証書を電子的に作成し,公証人がデジタル署名を付する) (エ) 電子文書の保管並びに存在及び内容の証明 (電子的に公証した文書,確定日付を付与した電子文書等を保管し,その電子文書等の存在及び内容について証明する)などの案が提案された。このうち、(ウ)電子公証制度は、当事者の意思確認が容易でないこと等の理由により、その導入が見送られている。
 また、成立した電子公証制度においては、電子公証制度の証明機関として、まずは公証人認証機関を設けて(指定法務局長または地方法務局長)、公証人が権限を有することを証明する電子証明書を添付することとされた。
5 電子認証制度に対する法務省のスタンス
 4で考察した法務省の報告書によると、商業登記制度・公証制度の利用による厳格な認証制度を推奨しようとするのが、法務省の基本的スタンスといえるのではないか*24
つまり、法務省の考え方は、現在広く利用されている商業登記制度における情報を利用しようとするもので、現実的ではある。民間認証局に比べ、信頼度が高い。通常の取引で印鑑証明書が果たしている役割を商業登記所による電子認証制度が行うことを意味する*25
 しかし、登記されている法人に関する情報しかなく、情報は登記事項に限られている。
つまり、会社の代表者と役員の取締役・監査役の表示はあるが、それ以外の役員や担当者の表示はできない。自然人の情報はなく、登記されている企業間の取引には使えるが、企業自然人間、自然人自然人間の取引には使えない。
 また、現在、資格証明書・印鑑証明書の交付は500円、会社の謄本は1000円の手数料がかかり、いわゆるこれら乙号情報をオンラインで取得するには、利用料がかかることになっており*26、商業登記制度を利用した認証を受けるとしたとしても、乙号情報と同程度の利用料がかかることが予想され、コストがかかり、簡易な取引の場合の費用負担が大きくなる。
 帝国データバンク、商業登記制度、認証機関として、企業はとちらを利用するであろうか。印鑑証明を必要とする現実社会の取引が限定されといるように、厳格な認証が必要な電子商取引も限定されていると考えるべきであろう。
 一方、電子公証制度は、現在の公証制度より利用される可能性が高いといえるのではないか。電子公証制度*27は、電子取引の普及促進に資する制度とされ、電子公証制度が認証機関の代わりとなるとするのが、法務省の考えたであるように思われる。法人電子認証制度とともに、車の両輪の役割を果たすとするのが法務省の考え方である。確かに、電子公証制度は、紛争予防機能も持っているであろう。
 電子商取引においては、そこで利用される情報は、全て電子化されるために、電子化された情報は、改竄・変造される危険性が高く、内容が公証された場合は、証拠力が高まる可能性がある。しかし、結果的に今回の法改正では、電子公証制度は導入されなかった。債権譲渡手続きのオンライン化に備えて、むしろ、確定日付の電子化が一番利用されるのではないかという見方がある。
 一方、認証機関の指定制度は、郵政省・通産省のスタンスと共通するものではないかと考えられる(1999年6月24日郵政省「認証機関に関する任意的な資格認定制度の導入に向けて」、1999年11月19日通産・郵政・法務「電子署名・認証に関する法制度の整備について」参照)。
 
6 電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)の概要
 以上のような背景のもとに成立した電子署名法(2000年5月24日可決・成立、2001年4月1日施行)の概要は以下のようなものである。
(1)電子署名の法的に位置づけ
 電磁的記録に記録された情報について、本人による一定の電子署名がなされたとき は、その電磁的記録は真性に成立したものと推定する。
(2)認証業務についての任意の認定制度の導入
 認証業務のうち、一定の基準を満たす特定認証業務について、利用者の信頼性の目 安として、任意の認定制度を導入する。
(3)制度の円滑な実施をはかるため、政府が電子署名及び認証業務に関する調査研究・教育・広報活動に努める。
1. 電子署名の定義(2条1項)
 電磁的記録に記録することができる情報を対象として行われた措置のうち
 @当該情報が当該措置を行った者の作成にかかるものであることを示すためのものであること
 A当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること
 署名目的で、何らかの形で暗号化されているものは全て含み、公開鍵暗号方式に限定しない
2. 電子署名の効果(3条)
 他人が公開鍵から秘密鍵を解読することができない程度の暗号の強度を持っている電子署名に限り、民訴法228条4項と同様の推定規定を置く。
3. 特定認証業務等の認定等(4条〜33条)
  認証業務の信頼性の目安として任意の認定制度を導入する。認定基準(6条)としては、設備基準・本人確認基準・業務方法一般に関する基準を掲げる。認定事業者の義務を定め、外国における認証業務の取り扱いも、海外との間の相互承認協定を推進する目的で可能とした。認証機関を調査する指定調査機関は、公益法人に限定せず、民間の参入を認めた。
4. 国の措置・罰則 
  特定認証業務に関する国の援助(33条)、国の広報活動などを通じての努力義務(34条)を定めた。認定認証業者などに虚偽の申し込みをして利用者について不実の証明をさせる行為に対する罰則(41条〜47条)も定められている。
 
7 法務行政における課題
 法務省の電子認証制度への関与を推進するもう一つの大きな波が行政の情報化である。
行政の情報化の流れの法務行政に対する要請として@申請請手続等の電子化の推進Aワンストップサービスの段階的実施Bインターネットなどによる行政情報の提供の促進
C情報通信ネットワークの高度利用に必要不可欠な電子文書の原本正確・受発信者の認証機能・手数料の納付方法など共通課題の早期解決等があげられる。
 登記情報の電子化は、その割合の大きさにより、急務となっている。登記事務のコンピューターシステムは、既に全国約三割の登記所において稼働しており、昭和63年10月東京法務局板橋出張所がブックレス第一号として稼働してから、平成16年を目処に終了する予定である。現在、不動産登記は、筆個数にして、全体の約4分の1がコンピューター化が終了しており、商業登記は、法人数の約6分の1がブックレスシステムへ移行している*28
 今後は、オンラインによる登記情報の取得が課題である。その前提として、商業登記制度における印鑑カード方式の導入が進められている*29。これは、商業法人について、代表者の印影と、関連情報を電子化し、あらかじめ本人に交付したカードの提出があれば、電子化された印影により印鑑証明書を作成して交付する制度である。商業法人の電子認証にも活用できる。印鑑関連情報の電子化の先取りとされ、将来は、商業法人登記全体のコンピューター化と連動する。昨年末の臨時国会で、乙号オンライン法が成立し、本年9月25日より、地域を限定して登記情報サービスの提供が開始されている。これは、インターネットを使用して登記情報を提供する制度である。国民は、自宅や事務所のパソコンの画面上で閲覧できることとなった。
 その他、現在検討中で、今後開始予定されているものが、地図情報の電子的形態による閲覧である。地図情報システムは次なる課題で*30登記情報・土地情報の連動が期待されている*31。政府レベルでの地理情報システム(GIS)*32 への取り組みに対応するための必要不可欠となっている*33。しかし、現状のいわゆる不動産登記法に定められている17条地図は、極めて不備であり、主として土地家屋調査士会の協力のもとに整備が進められている。
 次なる段階は、オンラインによる登記申請の開始である。債権譲渡登記の登記事務は電子情報処理組織によってなされ*34、オンライン申請が平成13年に開始される予定であるという。商業登記、不動産登記のオンライン申請の開始時期やその方法は定まっていないようであるが、商業登記の場合は、申請人の認証は、登記情報によって比較的簡単に行えるのではないかと考えられる。これに対して、不動産登記の場合は、行政に対する申請であるという点と、特に売買による所有権移転登記などについては、利害対立のある当事者による申請という点で、厳格な認証が必要となる。行政の情報化の要請による行政に対するオンライン申請が実現しているものとして、特許申請などがある。
 不動産登記における行政の情報化とオンライン申請に向けて、除除にコンピューター庁は増えている。しかし、乙号オンラインは開始したが、登記申請(甲号)のオンライン化はなかなかはかどっていないといわれている。世界的にも、商業登記のオンライン申請、乙号オンラインは開始している国はあるが、不動産登記申請のオンライン申請が開始しているのは、カナダ・オンタリオ州の一部の地域においてのみである*35
遅延の理由としては、@利害対立している当事者の意思を行政に申請するという構造の特殊性A本人認証が最も厳格に行われなければならないことが考えられる。自治省による個人認証システムが立ち上がらないと開始困難なのではないだろうか。ちなみに、カナダ・オンタリオ州の場合は、登記申請を行うソリシターを電子認証することによって登記申請を行っている。認証するのは、ソリシター協会である。これにならい、司法書士を電子認証することによって登記申請を行うとする考え方がある。本人から司法書士に対する委任状の電子認証は民間の指定機関によるもので足りるとすることはどうであろうか。
 申請を電子的に行う場合、登記原因証書など不動産登記法が定める添付書類も電子 的に添付することとなるのか否か。登記の真性担保目的であれば、認証によって登記 意思が確認できれば、司法書士が関与する場合、添付書類制度は廃止してもいいので はないか。
 
8 まとめ
 商業登記制度・公証制度・債権譲渡登記制度*36・成年後見登記制度などの制度を所轄する法務省は、法務省主導による認証制度が、情報の正確さ、認証の厳格さを理由に、我が国における電子認証制度をリードするべきであると考えているようである。これは、民間主導で電子商取引を進めようとする通産・郵政のスタンスとは、明らかに異なる。当初、登記所が認証局のピラミッドの頂点として、認証局の認証を行うという構想もあったようであるが*37、パブリックコメントにおいては、そのようなスタンスはとられなかった。
 行政の情報化において、政府情報としての比重が重い登記情報の電子化は、政府にとって大きな課題である。その大きな役割を担う所轄省として、特に商業登記の電子化を契機に、電子商取引についてイニシアティブをとるために、まずは、商業登記所が法人の認証局となる制度が導入された。しかし、現状の取引とパラレルに考察すると、電子商取引において、商業登記所や公証役場が認証局として必要とされる場合は限定されているのではないかと考えられる。
 公証制度が認証局を担うという発想はどうであろうか。電子文書に確定日付が必要な場合は、少なくとも現在の実務レベルと同レベルで起こるであろう。電子私署証書の認証は、まさに、公証制度が認証局たる役目を担う場合のさいたるものである。公証人は、関係者の意思確認をどのように行うのであろうか。これがスムーズかつ正確に行われるのであれば、利用される可能性が高いのではないか。しかし、電子公証制度の確立には、本人確認の方法などについて、登記申請のオンライン化と同様の問題が生ずる可能性が高く、結果的にその導入が見送られた。
 個人の認証に関しては、自治省は、地方公共団体における個人認証基盤の整備に積極的に取り組みつつある。今後は、行政庁への申請手続の電子化における個人の認証は地方公共団体で、法人の認証は商業登記所で行われることになる。我々は、このような行政の情報化の流れを理解した上で、商業登記・不動産登記の甲号オンライン申請を検討しなければならない。

*1 日経2000年8月16日「ネットビジネス経営講座相次ぐ」参照。日経2000年8月18日「青果のネット卸市場」によると、生産者、卸売業者、小売業者がインターネット上で青果を卸売りするホームペを開設した。ネットでの取引は、少量供給しかできない生産者でも加入しやすいという。
*2 平成11年8月19日通産省「電子商取引の環境整備の一環としての法的課題の検
討について」http://www.miti.go/report-j/gdensy0j.html
*3 日経2000年7月25日「電子政府向け体制強化」、日経2000年7月27日「IT革命が迫る制度改革、電子政府(上)」、日経2000年7月28日「IT革命が迫る制度改革(下)」などが近時の電子政府関連の動向の参考となる。
*4 日経2000年8月7日「ネット通販の契約条件見やすく〜消費者保護へ訪問販売法改正」によると、通産省は、家庭におけるIT普及を推進するために、インターネット取引における契約条件をわかりやすくすることを義務づけるように訪問販売法の改正をする方針である。オンラインショッピングを利用しない理由として、電子決済に対する不安が翁要因としてあげられている(日経2000年7月28日「電子商取引「利用経
験ある」10%」)。日経2000年8月4日「書面や対面販売免除」によると、訪問販売法や旅行業法など各種の業法で定められている規制を緩和してネット取引を推進する方向性が打ち出されている。
*5 http://www.kantei.go.jp/jp/it/actionplan.html
*6 郵政省は「暗号通信に在り方に関する研究会」(平成11年1月〜6月)、通商産業省は、「電子商取引の環境整備に関する勉強会」(平成11年2月〜7月)法務省は、「電子取引法制に関する研究会(制度関係小委員会)」(平成8年7月〜10年3月)を開催し、検討を行った(http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJ102/pub-mini02.htm)。
*7 http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJ102/pub-mini02.htm
*8 地方公共団体における個人認証基盤検討委員会「地方公共団体における個人認証基盤の在り方について」(平成12年3月)、http://www.mha.go.jp/news/00828.html「IT革命対応した地方公共団体における情報化施策などの推進に関する指針」(平成12年8月28日)等参照。
*9 http://www.somucho.go.jp/gyoukan/kanri/12hoshin.htm    http://www.somucho.go.jp/gyoukan/kanri/kihonwak.htm
*10http://www.mha.go.jp/news/00828.html
*11 「規制改革に関する論点公開」(行政改革推進本部規制改革委員会2000年7月26日)5頁V今年度の重点参照。
*12 「規制改革に関する論点公開」(行政改革推進本部規制改革委員会2000年7月26日)11頁。
*13 座談会「電子取引法制度整備の課題」ジュリスト1183号2頁以下参照。
 
*6 他社商標のドメイン名使用に対して停止請求を可能とする不正競争防止法の改正が検討されている(日経2000年8月15日「ネットの住所ドメイン名他社商標の使用規制」)。
 
*14 浦中裕孝「電子商取引における電子認証、電子署名の重要性」金融法務事情1564号1頁。
*15 浦中裕孝「電子商取引を巡る法律問題の現状と課題」金融法務事情1565号52頁。
*16 浦中裕孝「電子商取引を巡る法律問題の現状と課題」金融法務事情1566号34頁。内田貴「電子認証・電子署名をめぐる法制度整備のあり方(上)」NBL675号6頁。
*17 内田貴「電子商取引と民法」私法61号43頁。
*18 室町正美「電子商取引に関する法制度の検討状況」自由と正義1998年3月号98頁。アメリカ・カリフォルニア州の中立性重視の代表的立法。
*19 室町正美「電子商取引に関する法制度の検討状況」自由と正義1998年3月号99頁。
*20 浦中裕孝「電子商取引を巡る法律問題の現状と課題」金融法務事情1566号40頁。
*21 内田貴「電子商取引と民法」別冊NBL51号319頁では、電子認証手続と上級電子認証手続を区別している。
*22 内田貴「電子認証・電子署名を巡る法制度整備のあり方(下)」NBL676号32頁。
*23 室町正美「電子商取引に関する法制度の検討状況」自由と正義1998年3月号100頁。
*24 原田晃冶「高度情報化社会における商業登記所の将来ビジョンについて」民事月報53巻1号9頁。
太田健治「商業登記所における電子認証事務」登記研究619号103頁以下参照。
原田晃治・早貸淳子「商業登記制度を活用した電子認証制度の整備について」登記情報442号38巻32頁以下参照。
*25 渋佐慎吾「商業・法人登記の行方を探る」登記情報453号39巻8号5頁。
*26 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律(通称乙号オンライン法)が、昨年の臨時国会で成立、これに基づいて、乙号情報のオンラインによる開示が可能となった。既にサービスの利用が開始している。
施行は、本年10月以降となる見込みで、登記情報が電子化している登記所を対象に除除に開始される予定。乙号オンライン法によると、利用者は、登記手数料以外に利用料を支払うこととなっている。
*27 小川秀樹「公証制度と民事立法」登記情報457号39巻12号4頁以下。
*28 坂本昭「登記情報システムのデータ管理」民事月報53巻3号3頁。
*29 星野明一「高度情報化と法務局」登記情報433号37巻12号5頁。
*30 イギリスでは、タイトルマップと呼ばれる土地の権利の範囲を示す地図のコンピューター化により、地理情報システムとしてオンラインによる情報提供をしようとしている(小林久起「目は口ほどにものを言い」民事月報52巻12号5頁)。カナダ・オンタリオ州では、既にマッピング(地図情報)がコンピューターシステムの中核をなし、乙号オンラインが開始している(カナダ第二次視察報告書35頁)。
 平成元年民事局長通知「地図整備の具体的方策」。平成9年民事局第三課長通知「今後の地図整備の方向について」。地図管理システムが地図のコンピューター化のための事前準備であることを明確にし、地図のコンピューター化が登記情報システムと連動した独立のシステムであることが明らかになる。
*31 原優「行政の情報化と登記行政」登記情報451号39巻6号5頁。松尾武「地図の概念とコンピューター化」登記情報444号38巻11号5頁。寺田逸郎「情報化時代の「公示」」ジュリスト1126号210頁。
*32 政府は、「地理情報システム関係省庁連絡会議」を設置、システム構築のためのデータの標準化等を検討している(登記研究608号129頁)。
*33 細川清「新年を迎えて」登記研究624号5頁。
*34 玉田勝也「債権流動化と対抗要件」登記情報437号38巻4号5頁。
*35 カナダ・オンタリオ州第二次視察報告参照。
*36 「債権譲渡登記大いに期待する」金融法務事情1509号1頁。
*37 アメリカユタ州の立法が代表的(内田貴「電子認証・電子署名をめぐる法制度整備のあり方(上)」NBL675号9頁)。