前川・滝川司法書士事務所の
借地借家Q&A及び解説
土地建物を貸借したいとき
定期借家権
定期借地権

 土地建物を貸し借りしたいとき

Q1 期限付きで建物を貸すことができますか?

A 新しくできた定期借家制度を利用すれば、期限付で建物を貸すことができます。定期借家契約は、これまでの普通借家契約のように、当然に更新される制度ではなく、期間満了後に再契約できるかどうかは、大家さんの腹づもり一つです。契約書と定期借家契約であることの説明は、書面による必要があります。契約書には契約期間を明記して、更新がない旨の特約を記載する必要があります。これらの要件を欠いた場合は、契約は正当事由制度の適用のある普通借家契約とみなされます。
 定期借家契約は、あらゆる借家契約に適用可能です。住宅でも、店舗でも、オフィスでも、床面積の大きさにも関係なく適用されます。以前の借家契約が定期借家契約に自動的に切り替わることはありません。居住用の場合は、当事者の合意による切り替えも、当分の間禁止されています。借家契約が全て定期借家契約になる訳ではなく、普通借家契約か定期借家契約の選択制になります。

Q2土地を借りて家を建てる場合、長期間確実に借りる方法はありますか?

A 定期借地契約ではなく、普通借地契約を締結する必要があります。定期借地権は、3種類のものがありますが、普通借地権との大きな相違点は、正当事由制度の適用がなく、期限が来れば必ず土地が地主に返却される仕組みになっています。普通借地権は、いったん借りると、期間が満了時しても地主に自己使用の必要性等正当な事由がないかぎり、土地を返す必要はありません。
 最近では、定期借地権のうち、遊休地を利用するために事業用借地権、住宅を安価に供給するために一般定期借地権がよく利用されるようになっており、また、建物譲渡特約付借地権もスケルトン方式と呼ばれる方式での集合住宅分譲に利用されたりしています。

家賃に関する紛争

Q1 大家さんが世代交代し、息子さんが今住んでいる古家の家賃を倍に値上げすると言って来たのですが、値上げに応じないといけないのですか?

A 値上げ後の家賃が不相当に高く納得できず、自分が相当と思う金額を家主が受け取らない場合は、法務局に供託すれば、賃料不払いによる契約解除をされなくてすみます。家主がなおかつ値上げをしたい場合は、調停の申し立てを行う必要があります。

Q2 永らく値上げをしていなかったので、借地人に対し、地代値上げを求めたところ、値上げの金額が高すぎるといって、法務局に家賃を供託されてしまいました。地代値上げを行うにはどうしたらいいでしょうか。

A 供託された家賃は還付請求を行うことによって支払いを受けることができます。さて、このように借地人が値上げに応じない場合は、調停の申し立てをして、値上げに関する協議を行うことになります。双方が納得しなければ、調停は成立せず、改めて、地代値上げ訴訟を起こさなければなりません。

Q3 借家人が六ヶ月以上も家賃を支払っていません。以前にも度々滞納をしたことがあり、出ていってもらいたいと思うのですが。

A 口頭や手紙で督促しても、滞納家賃を支払わない場合は、配達証明付の内容証明郵便にて、改めて督促を行い、一定期間後に滞納家賃を支払わない場合は、契約の解除を行う旨の通告をします。期限を過ぎても支払わない場合は、契約を解除することができますが、借家人が任意に立ち退かない場合は、家屋明け渡し訴訟を起こす必要があります。滞納家賃の督促や家屋明け渡しの執行手続きも必要となりますので、専門家に相談されることをお勧めします。